障子貼る

『山田 稔自選集Ⅱ』 山田 稔著

 山田さんの自選集二冊目である。この巻は故人に係る思い出が多く、追悼集といってもよい。しみじみした話は印象に残っていて、どれもすでに読んだことを思い出した。書かれている主な故人をあげると、「八十二歳のガールフレンド」の久保文さん、得難い先輩詩人の天野忠さん、天野さんとの関わりで知り合ったドイツ文学者の玉置保巳さん、恩師だった桑原武夫さんや伊吹武彦さん、生島遼一さん、先輩の多田道太郎さん、友人の杉本秀太郎さん、松尾尊よしさん、沢田閠さん、文学同人だった富士正晴さん、編集者の坂本一亀さん、そうそうたるメンバーである。個性的であったかの人々のかってのエピソードも面白くよんだが、病み衰えた老年の姿にも心惹かれて読んだ。誰にとっても老いは公平に容赦なく訪れる。それは例外のない真理であると、山田さんの思い出話は教えてくれる。

 多田さんが山田さんの文章を評して「『小説となって腐ってゆく寸前』の・・・とうてい小説とはなりえない現代の魅力」と語っているが、まさに山田さんの文章はそれである。

 寒くなる前にとリビングの障子を貼り替える。夏に業者に頼んだら相当したが、自分でやったらその十分の一以下である。多少の皺たるみはあるが、霧を吹いたらまあまあである。

 多田さんが晩年俳句を始め、型破りな作風を愛したということに感じて、今日の俳句は気を抜いて。

 

 

 

 

       皺たるみ顔ほどはなし障子貼る

 

 

 

 

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冬薔薇