『山田稔 自選集 Ⅰ』 山田 稔著
県図書館に山田さんの自選集があり、珍しいことに誰も借りていない。Tが出かけたついでに早速借りてきてもらう。
全三巻である。一巻目は短い散文集。主に『ああ、そうかね』と『あ・ぷろぽ』からの抽出である。
『あ・ぷろぽ』は既読作品のはずだが、案外覚えていないものだ。松田道雄さんのことや茨木のり子さんの詩についてぐらいしか思い出せなかった。今回も天野さんについての小文「天野さんの足」とか「天野さんの日」とかが心に残った。そのうち「天野さんの足」は
天野さんが晩年足が不自由になられて、
「世の中には脚のある人間とない人間と、この二種類しかないのやなあ」と苦笑まじりにつぶやかれたのを思い出して、いやちがう、
「世の中には詩の、芸術のわかる人間とわからない人間と二種類しかいないのです」と心の中で反論する話である。そして、天野さんの詩にある丈夫な足は詩を愛する人々の心のなかを自由に歩き回ると偲んでおられる。
初見だったのは山田さんを有名にした?糞尿譚の一部。こういうユーモアも山田さんの一部かとおもって読ませてもらった。そうそう「広島カープ論」も意外だったことのひとつ。
暖かくていい天気が続く。そろそろ草木も色づいてきた。
うちの柿 今年はなり年。
捨案山子
散歩道の橋。老朽化で明日から撤去工事。もう対岸は行けぬ。子どもの頃はこの橋の向こう側、堰があって深かったので泳いだ。昔々「平三郎」という人がここで溺れたので、この場所を「へいざぶろう」と言っていた。
取り寄せたりんご。一回目は紅玉と早生ふじ。紅玉は酸味が苦手で、コンポートにしてみた。ちょっと煮すぎてくずれぎみ。
薄着して意気軒昂や捨案山子