『ア・ルース・ボーイ』 佐伯 一麦著
自分に正直に生きようとする若さが痛いたしいが、読了感は爽やかだ。
英語教師に「loose」とレッテルを貼られた少年は、県下有数の進学校を後にする。同じように高校を中退して、婚外子を産んだ中学時代のガールフレンドと暮らし始めるが・・・。
佐伯さんは「私小説家」らしいが、きれい事だけでなく嘘をつかずにすべてを書きつくすことは並の覚悟で出来ることではないだろう。しかし、自分の生き方に真摯に向き合ってこそ出来ることであり、それゆえ他人(ひと)を感動させることも出来るのだと思う。
さて、この本の主人公「鮮(あきら)」のその後の人生を追いたいと思ったのは、私だけではあるまい。幸いにも図書館には何冊かあるようだから一冊ずつ読むことにしましょうか。
長引く体調不良で何となく気持ちはすっきりしない。
留守電にしっぱなしの固定電話に久しぶりに連れ合いが出た。電力会社の料金見直しプランの案内だったが、年齢を聞いて「失礼しました」とすぐ切ったそうである。69歳以下の人しか相手にしないらしく、70代後半はもはや自立した大人とはみられないらしいと、二人で苦笑いしきり。
秋風に吹かれて軽ろき歩みかな