薄暑

不要不急の外出

 先日読んだ種村さんの本にあった神社(三重塔)を訪ねたい、西を向くならもう少し足を伸ばして、西濃の三重塔をもう一基見ようと、垂井まで行く。およそ我が家からは車で一時間の距離である。

 美濃一の宮南宮大社の神宮寺、真禅院が最初の訪問地。誰もいない静寂な中に堂宇が立ち並ぶ。天平年間に行基によって創建されたと歴史は古く、将門の乱や安倍貞任の乱の調伏の修法でも功があったらしい。関ヶ原の戦いで燃え、家光により再建されたが、明治の神仏分離により南宮大社からは切り離された。三重塔、本地堂、(いずれも江戸初期)梵鐘(奈良時代から平安前期の制作)が国の重要文化財である。

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 せっかくだからと南宮大社にもよる。美濃の一の宮、鉄の神様である。以前来たことがあったような気がしていたが、すっかり忘れていたから初めてだったかもしれない。伊吹山は息吹に繋がり、この辺りは古代はたたら製鉄が盛んであったと古代史の本で読んだことがある。

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 お昼は大垣市内の老舗の蕎麦屋さんを訪問。「にしんそば」が有名で一度訪れたかった。評判に違わず美味しい。

昼食後に目指したのは種村さんも、白洲さんも訪れたという神戸町日吉神社。途中「曽根城公園」で花菖蒲を見る。ここはかって美濃の国衆の稲葉一鉄の城跡、一鉄の家来から光秀の家来になったという斎藤利光春日局の父)の屋敷跡なる石碑もあった。

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 日吉神社だが、ここも歴史は古い。西美濃のどこにも共通することだが伝教大師最澄に係る由緒がある。重要文化財の三重塔は室町期のもので姿が美しい。斎藤利光の伯父(利綱)が建て、稲葉一鉄が修理をしたという。檜皮葺の堂宇などが痛んでいるのは寂しい。白洲さんがあこがれたという十一面観音を持つが通常は非公開で残念。種村さんも見られなかったと書いておられた。

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 写真が下手で、相変わらず相輪のてっぺんが切れている。ちゃんと確かめたつもりだったのに・・・。久しぶりの外出でちょっとだけ疲れる。あちこち寄りたがる当方に、連れ合いは「熱が出るから止めとけ」と、お小言である。前科があるので素直に聞くことにした。

 

 

 

 

         人影のなき参道の薄暑かな