お水取り

「奈良東大寺修二会」の録画を見る

 先日NHK東大寺の「お水取り」最終日の中継があった。お水取りは聖武天皇の時代に始められて1260年間、一度も欠かせれたことがないという行事で、コロナ禍の今年でも細心の注意を凝らして実施され、それをテレビで中継するというのである。夜半すぎにかかる長い中継なので録画にして何回かに区切ってH殿と見た。

 途中にアナウンサーやゲストによる中断はあったが人工的な採光は一切なく、難しい行法やお経などには字幕が入り大きな流れは理解できた。

 以前から気になっていた過去帳(青衣の女人)の読み上げ場面はなかったので、後で調べたらこれは最終日にはないらしい。YouTubeにそこのところだけ挙がっているので、気になる方はご覧になるとよいと思う。辺りを伺うようにしてから低い声で唱えられている。

 流れを見て感じたのは音と火の競演だと思ったことで、これは後で読んだ下記の本によれば、火や音で、「音をたてて神霊を呼び醒まし、地を踏みしめ、水や火で浄化するという呪術的行為」らしい。

 仏教的行事のはずなのに神仏混淆で様々な神が勧請され山伏姿の方も垣間見えた。

 驚いたのは「菅首相」の名前も呼び上げられたことで、これは修二会の根本的祈願に「国家安寧」があるためだということだ。

 基本的には修二会というのは修正会などと同じで仏に罪過を懺悔して個々人の幸せや国家の安寧、疫病退散、五穀成就を祈るものだということがわかった。今は少なくなったというがかって奥三河地方などで行われていた「花祭り」と同じような意味をもつものらしい。さまざまな民間の予祝行事が廃れていく中で1260年という伝統を画面越しながら見られたのは貴重であった。

 

 

 

 

     水取りや氷の僧の沓の音   芭蕉

 

 

 

芭蕉の句として、「籠もりの僧」と「氷の僧」と二つの句が伝わるが私見は「氷」がよいと思う。

これはH殿の本だが、この中に「修正会」という篇がある。

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木蓮と紫木蓮(これは我が家のもの)