稲の秋

ヤマト王権の古代学』「おおやまと」のオウから倭国の王に  坂 靖著

 やっと四日ぶりのお日様である。雨が続くと気持ちが萎えていけない。ずっと椅子に寝っ転がって読んでいたのがこの本。少し前に新聞の書評欄で見て気になっていた。県の図書館にあって借りてきてもらい、暇に任せてメモを録りながら割合丁寧に読んだ。いままでの雑多な自分流古代史理解が少し整理されたような気がして、なかなか良かった。

 筆者の言葉を借りればこの本の詳細は「弥生時代から古墳時代奈良盆地で王権が成立し、展開した過程を明らかにする」試みである。つまり、奈良盆地の東南部「おおやまと」と呼ばれる地域の古墳集団が、他の古墳集団(佐紀・わに・ふる・そが)などのを取り込み、最終的にはカワチやイズミにまで版図を拡げ倭国王を名告るまでになった過程である。それを筆者は主に古墳の築造変遷やそこからの出土物などを中心に説明しているが、図版も多く説得力があった。

 なお、「邪馬台国」については初期の「おおやまとの王権」をそれに比定することには懐疑的である。土器による編年でみれば「邪馬台国」の時代にはヤマトの遺跡には中国との関係を示す遺物は乏しく、とても北九州地方の比ではないという。したがって著者は「邪馬台国」北九州説である。例の「三角縁神獣鏡」については中国での出土例がなく技術的にも瑕疵があったりするから日本でヤマト政権が政権的意図で作ったのではないかとしている。一方、古墳などからの様々な中国由来の出土品などがでることから正史にのるような正式な交流はなくても大陸との交易はそれぞれの地域で盛んだったようだ。

 

さて、全く個人的なことだが本日をもって「後期高齢者」である。元気ならいいが、障害のある身で傷もまだ癒えず生産性はゼロである。。それでも家族に美味しいものを作ってやるくらいはまだ存在理由はあるかなあと自分で自分を納得させている。

 

 

 

 

            姨捨の田毎に競ふ稲の秋

 

                       以前姨捨に出かけた折りの句。

                        「森将軍塚古墳」も近くでした。

 

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タマスダレゼフィランサス

ヤマト王権の古代学―「おおやまと」の王から倭国の王へ

ヤマト王権の古代学―「おおやまと」の王から倭国の王へ

  • 作者:坂 靖
  • 発売日: 2020/02/05
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)