秋暑し

『いのちの停車場』 南 杏子著

 62歳の医師・白石咲和子をめぐる「死」にまつわる話である。東京の救命救急センターで働いていた彼女は事情があって故郷の金沢に帰郷、在宅診療所の訪問医となる。そこには一瞬を争う救命救急の現場とは違って「命を送る」という重い現実があった。

 貧しさと隣合わせの在宅での老老介護や癌患者の終末期医療、そして何より老いた父親からの安楽死の懇願。

 一昨年読んだ小堀鴎一郎さんの『死を生きた人びと』を思い出す。そして、十分に気持ちよく看取り十分に快く死なせてやる、反対に快く看取られ気持ちよく死んでいく、というのはなかなか難しいことなんだとつくづく思う。どちらの側に立っても今度は後悔なくちゃんとしたい。唯一その一瞬に居合わせた父との場合は、そうでなかったと思うから。

 

 戦記ものから始まってこのところは暗い話が多すぎる。がらっと気分一新と『やりなおし高校日本史』と『やりなおし高校地学』を借りてきたが二冊とも読了出来ずに挫折。前者は平安期の荘園制まで、後者は日本列島誕生のところだけと散々である。今やわが理解力と根気はその程度である。私が放り出した『やりなおし高校日本史』を夫が読み始めたが、さてどこまで根気が続くかな、見ものだ。(ちょっといじわる)

 

 

 

 

          秋暑しこんなとこより探しもの

 

 

 

 

いのちの停車場

いのちの停車場

  • 作者:南 杏子
  • 発売日: 2020/05/27
  • メディア: 単行本

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