行く春

『ヒトのオスは飼わないの?』 米原 万里著

『吾輩ほ猫の友だちである』   尾辻 克彦著

 ニャンコを飼いたいと思うのだが飼えない。「ネコを飼おうかな」と言うとH殿は「気軽に旅行に行けんぞ」というし、Tは「部屋が猫毛だらけになるよ」と言う。そう言われれば、どっちも私にとっては困るのである。前に居た半野良猫のノラは、家族旅行から帰った日不信感に満ちた目で眺めて翌日姿を消してしまった。何日も捜して喪失感に打ちひしがれたことはなかなか忘れられない。猫毛も困る。ノラの時も玄関にしか入らなかったのに玄関ホール(?)にはフワフワした猫毛が漂っていた。掃除機をかけた後に接着テープで掃除をして「ほとんど病気じゃない?」と言われる当方である。だからまあ、せいぜい映像を見て本を読むくらいで我慢。

 Tの古本スットク棚から見つけた上記の二冊は全く楽しいネコ本である。こういう重苦しい日常をちょっと忘れさせてくれる。

 米原さんはびっくりするほどのネコ好き。仕事で出かけてロシアでブルー・ペルシャの子猫に魅了され危険を顧みず買って帰ったり、ホテルの庭先に捨てられていた子猫を拾って帰ったりと半端な愛猫家ではない。この一冊はネコたちとやっぱり拾われた犬とお母上との家族物語。

 一方尾辻さん(赤瀬川さん)の本も家族と黒猫ぺりーの物語。尾辻さんは物語と言っているがご本人の家庭を反映したエッセイの感じ。黒猫が幸福をもたらす話でもある。

 お二人とも好きな作家だったが今や彼岸の人である。

 

 一昨日二十年近く使用した二槽式洗濯機が壊れた。孫に「昔の洗濯機って教科書に載ってるよ」と言われた洗濯機。前日まで元気に働いて翌日パッタリと動かず、夜の間に「心筋梗塞」になったみたいだ。洗濯は休むわけにいかず直ぐに代わりを購入したのだが、これもやはり二槽式。いまでもちゃんとあるものである。設置スペースの問題もあるが私には二槽式があっている。これから二十年働いてくれれば終生全自動とは関係ないなあ。

 

 昨日は恐る恐る病院に出かけた。さすがに空いていて短時間で終了、今度は一月後である。結果は炎症は収まってきたが肉の盛り上がりはまだとのこと。傷が治りきるまで先は長そうだが予想範囲でまずまずである。

 

 

 

 

 

         行く春や何処へも行かず何もせず

 

 

 

 

ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)

ヒトのオスは飼わないの? (文春文庫)

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山椒の新芽。木の芽味噌にすると美味しいですよ。