春の野

 春休みの一日をさいてY一家が来てくれた。昔から上の孫が来ると雨になる確率が高く、今回もまさかの曇のち雨。花見には生憎である。それでもと昼食の後近くの白山神社に寄る。花見に来る人がいるわけでもない神社だが、山を背後に長い参道があり森厳とした趣だ。三本ほどの桜だが八分咲きで小雨に楚々たる風情あり。カメラを持ってなかったので掲載の桜は我が家のものだが、こちらはまだ二分ほどの咲きぐあいだ。他愛もない話をして一緒に夕飯を食べてまずまず幸せな一日。贔屓チームの中日が大勝したのも嬉しい。

 

『用事のない旅』 森 まゆみ著

 ひとの旅行記を読む楽しみは行ったことのない土地を一緒に旅をした気分にしてくれることだが、行ったことのある土地をまた思い出させてくれることも楽しい。

 二章の「旅の空に踊る」で紹介されているいくつかの訪問地。私も訪ねたことのある土地だが中でも懐かしく思い出したのは「湯布院」とか「鶴岡」とか「松山」。ことに「湯布院」に至る「やまなみハイウェイ」の絶景は忘れられない。山焼き終わったばかりの春先で、るいるいと広がる真っ黒な原野に驚いた。あれほど広大な野焼き跡を見たことがない。初めての目には大規模な山火事の跡かと間違えたほど。また「松山」ではあの有名な重文銭湯に入らなかったのはいまでも悔いが残る。ある有名宿に泊まったのだが、中居さんに「あんなところの湯は汚れているからおよしなさい」と言われて止めてしまったのだ。夜のそぞろ歩きで娘が100円を拾ったことなど、どうでもいいことと一緒に覚えているものだ。

  来週は淡路島から徳島を廻ってくる。「ブラタモリ」に触発されたわけではない。四国は徳島が未踏県で前々からの懸案事項だ。

 

 

 

 

     春の野や雀ころころ鶫ぴよんぴよん

 

 

 

 

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用事のない旅 (わたしの旅ブックス)

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