『縄文時代の歴史』 山田 康弘著
縄文人はジャパンオリジナルであると言う。この国の先住民であったことは間違いない。1万4000年ほど長きに渡りユニークな表現物を残した彼らは、一体どうなったか。
縄文人は決して絶滅してしまったわけではなかった。弥生時代の人々をはじめ、後世の人々の中に吸収されていったというのが実情としては一番正しいだろう。
DNA分析でも、私たち現代日本人の遺伝子の中には縄文人から伝わったものが(本土日本人の核DNAで12%ほど)存在していることがわかっている。・・・死生観などの思想についても私たちに受け継がれている部分があることもわかっている。
小学4年生の時の担任の先生が考古学に関心の深い先生で、よく子どもたちを「鏃探し」に誘ってくれた。今のように機械で深起こしをする以前だったせいか、畑で土器の破片や石鏃が見つかることもあって子ども心に夢中になった。男の子の中には毎日毎日畑まわりをしていくつか探し出し、随分誇らしげだった子もいたのを思い出す。
この辺りは縄文人が走り回った山野にちがいない。縄文人は遥かな私たちの祖先なのだ。犬を可愛がり漆を活用する。ほぞ穴をうがって家を建てる。海水を煮立て塩を作る。これらは今でも繋がっている彼らの文化ではないか。
この本には土偶や火焔土器などについては詳しくふれていない。縄文全期にわたって気候と人口の変化、居住形態や食べ物、交易の発達と交易品、埋葬方法と祭祀、集落と社会構造などを解説している。わかりやすいが学術的でもある。土器の使用で始まり稲作で終わったあの時代をじっくりと振り返る一冊であった。
囀りや原生林に陽を入れて
- 作者: 山田康弘
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2019/01/17
- メディア: 新書
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