このところの暖かさで春が一挙に進んでいる。昨日は初めて雲雀の鳴き声を聞き、今日は初めて紋黄蝶を見た。閉じこもってばかりではとウオーキングも続けているが今日は庭の草引きもした。難解な本よりこの方が合っているかもと思いつつ、前回の続きを。
『陰謀の日本中世史』 その2
筆者は「鎌倉幕府の歴史は陰謀の連続だった」と言う。頼朝と関東の有力な御家人で成立した鎌倉幕府だが本元の源氏将軍家はわずか三代で滅びる。頼朝をのぞいていずれも謀殺やら暗殺である。有力御家人も梶原・比企・畠山・三浦・安達など八氏が謀反の疑いで誅伐されている。追い落とすための陰謀か陰謀の罠にはめられたのか、どちらが加害者でどちらが被害者なのか、学者の間でも諸説があるようで鈍い頭ではちっともわからない。唯一はっきりしているのは北条氏がうまく立ち回って約150年は権力を維持したということぐらいだ。
次の室町幕府ももっとわからない。しかし、今週の水曜日だったかNHKテレビの「歴史ヒストリア」を見て少しは氷解した。「観応の擾乱」も「応仁の乱」もこの本の筆者の解説でわかりやすく説明されていた。つまり「応仁の乱」は『応仁記』によるような将軍家の跡目争いでも日野富子の陰謀でもない。畠山氏の家督争いに山名宗全が同調してクーデターを起こしたのが発端で、日野富子の悪女伝説も『応仁記』の全くの創作だということだ。
いずれにしてもこの時代の200年ちかくは争いばかりで、カオスの中から傑出した者が次の時代の戦国大名になっていったのだろう。
ところで、陰謀の渦巻く権力闘争の中で私達のご先祖様の庶民はどう生きたのか。中世の庶民史に詳しかった網野さんの本をもう一度読みたくなった。
鳴き声は雲の中より初雲雀
- 作者: 呉座勇一
- 出版社/メーカー: KADOKAWA
- 発売日: 2018/03/09
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真っ青な今日の空。低いところに長い雲が伸びてました。飛行機雲とも違うような。