『俳句の授業』  夏井 いつき著

 「プレバト」なる番組を見たことがない。夏井さん自身についてもご本人も俳句もよく知らなかった。最近あちこちで名前を見るようになり元気のいい方だなあという印象があった。たまたま図書館でこの本を見つけて借りてきたのだが「世界一わかりやすい」という副題にいつわりはない。なるほどこういう入門書もあるのかと驚いた次第だ。詩の作り方と言えば第一に感覚的な話になりそうなのだが、本書では実に実践的かつ合理的である。その方法はまず五音の名詞をさがさせ、それに七音の修飾語をつけ、そして五音の季語を取り合わせるのである。彼女はこの方法を「尻から俳句」と読んでおられるが、これでちゃんと俳句になってしまうところが凄いというかいやになてしまう。もちろん意味の重複とか取り合わせの効果とか見直しは肝心だという。

 この本でもう一つ勉強になったのは「一物仕立ての俳句」の定義である。夏井さんは純粋な一物仕立ては「比喩・見立て・擬人化・感想などに置き換えない観察から得た発見だけで成立している句」だとされている。さすれば純粋な一物仕立てというのはとても範囲が狭いということになる。

 さて夏井さんの俳句はいかにとネットで調べたがわからず。公開ブログにも俳句は書かれていないようで、やっと二句だけ読んだ。

 

 

 

 

     ジャグジーに腰を打たせて農婦冬

 

 

 

 

夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業

夏井いつきの世界一わかりやすい俳句の授業