少し体調も戻ったことだし陽気もいいからと久しぶりに出かけた。行く先は前々から気になっていた三重県津市の専修寺。浄土真宗高田派の総本山であり昨年には御影堂と如来堂が国宝に指定されたところだ。我が家からは高速を使えば車で二時間の距離である。前もって境内のご案内をお願いしておいたので約束の時間に間に合うように出かける。
まず山門と唐門の巨大さに圧倒される。山門は江戸初期、唐門は後期の建築でありいずれも「重文」である。電話で「ご参拝の方が多い」と言われたとおり思ったよりの参拝者である。受付をして若い僧侶の方に宝物館・如来堂・御影堂の三箇所の順番に案内していただく。
宝物館には親鸞聖人の直筆が収められているということであったがほとんどは複製である。複製ではあるが聖人の豪胆さを感じさせるような筆使いがわかる。
如来堂は阿弥陀如来を安置するお堂である。二重屋根の豪壮な造りである。上層の屋根を支える組物の一つ一つに彫り物が施されていて見事なものである。木口の漆喰が白白と美しい。阿弥陀如来像は快慶作とのことだが残念ながら拝顔できない。
御影堂は如来堂に先立って1666年に建立されたという更に巨大な建物である。なんでも780畳敷といい内部は幾段にも分かれ最上段の金箔張りの空間には親鸞聖人の木像が安置してある。藤堂藩の肝いりで関東大工の手で造られたたとかで内陣は東照宮に似た華麗な装飾が施されている。
説明が終わった時がちょうどお昼のお勤めの時間で僧侶の方が「正信偈」をあげられたのだがこれがおなじ「正信偈」かと思うほどうちの大谷派とは節が違う。どちらかというとなめらかで歌うような節でなかなか心地よいものである。なんでも今日の説明では浄土真宗は十派もあるということで意外である。
この後ここまで来たからと三重県美術館に寄る。企画展として「日本画 大研究展」を開催中。竹内栖鳳や曾我蕭白、横山操が印象に残る。ことに横山操という人は今まで知らなかったが新鮮な画風の水墨画で見応えがあった。
久しぶりの遠出でやや疲れたが、少し自信もつき前向きにもなれた一日であった。
秋の蚊を秘蔵してをり宝物庫