昼寝

 二日ほど前から夏の花粉症が酷い。くしゃみと鼻炎で真夏なのにティシュが手放せない。体調が悪かった間は花粉症を忘れていたが、少し体力が回復してきたせいか、またぞろ免疫反応が出だした。これを喜んでいいのかどうか複雑な気持ちだ。今朝はあまり酷くて気もそぞろになったので残っていた薬を飲んでみた。夏の花粉症はイネ科が多いというが原因は不明。暑いから冷房の部屋以外は窓も開け放しており風が入ってくるからしかたがない。

 

 『古代の鉄と神々』     真弓 常忠著

 Tが面白かったと言ってまわしてくれた今月のちくま学芸文庫の一冊である。

 古代の日本で青銅器に先行して鉄器が使われていたのではないか、普通鉄の製錬には銅より高い溶解が必要とされるがそれは磁鉄鉱などをの場合で太古(例えば弥生時代初期)の鉄は褐鉄鉱を利用したのではないか、褐鉄鉱は葦などの水性草木の根本に出来るもので粗悪だが低い温度で溶解でき鍛造で鉄器を作ることもできるので稲作の発展におおいに寄与に違いない、この褐鉄鉱の塊をスズといい(空洞でからからと鳴るものもあった)信濃の枕詞「みずずかる」はこれをいうのではないか、また銅鐸はこのスズの生成促進を願ったものではないか

 など論考の大まかな点は以上のようなものであったと思う。筆者は神職にある研究者として神社に残る祭祀や神話などをもとにこの論考を展開されているわけだが、実際褐鉄鉱からの鉄溶解の実験もなされたようで説得力のある内容であった。ことに銅鐸がある時期をもって突然に埋められて終わってしまったという事実は、その用途とともに古代史の大きな謎であり、筆者の仮説にはかなり興味が残った。

 

 明日は亡父の三十三回忌を務める予定で何かと気ぜわしい。

 

 

 

 

     老い二体昼寝のさまの仏めき

 

 

 

 

古代の鉄と神々 (ちくま学芸文庫)

古代の鉄と神々 (ちくま学芸文庫)