花粉による目の痒みが酷い。点眼薬も飲み薬も使っているのだが。
林京子さんの「祭りの場 ギヤマンビードロ」を読んでいる。林さんの逝去を新聞で知り、図書館で借りてきた。ご自身の原爆体験を書いてきた人だということは知っていたし、昔読んだような気がするのだがすっかり忘れていた人だ。改めて読んでみるとひととおりでない作品群である。「祭りの場」は学徒動員中に被爆して奇跡的に生き残った話。思い出すのも辛かったはずの体験が冷静な筆致で綴られている。淡々と語られるからこそ残酷な現実や悲しみ、それをもたらしたものへの怒りがひしと伝わってくる。「ギヤマンビードロ」に入っている「空罐」は空き缶に爆死した父母の遺骨を入れて通学していた級友の思い出。「友よ」は三十年後始めてみた自宅火災の写真に孤児だった旧友が号泣する話。
一連の作品で芸術選奨新人賞の授賞が内示されたが筆者は被爆者であるから国家の賞を受けられないと謝絶されたという。
被写体を探して畑を歩きまわていて蝶を見つけた。何という蝶だろう。
初蝶やわが三十の袖袂 石田 波郷
- 作者: 林京子,川西政明
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 1988/08/04
- メディア: 文庫
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