囀り

播州の国宝を訪ねて
 二日目
 正確に言えば二日目は国宝はなし。新装なった姫路城は車窓から眺めただけ。午前中費やして廻ったのは「書写山 圓教寺」三十年経ての再訪である。圓教寺和泉式部や一遍さんゆかりの寺。西の比叡山といわれ伽藍が標高300m強の山上に広がる。たびたび火災で燃えており国宝になるほど古いものはない。摩尼殿は昭和の建築ながら舞台作りの巨大建築物。縁に立つと足がすくむ。煙が上がって山火事かと思ったら花粉の飛散。この後目の痒みに悩まされることになる。ここの一番の見所はコの字型に大建築が配置された一郭。大講堂、常行堂、食堂であるが色が落ちて白木の古びた風情。かっては大勢の僧たちも見られただろうに人けのないガランとした有様。異界に迷い込んだようなふしぎな空間だ。さすが山の中で鳥が多い。鶯、ルリビタキシロハラその他名前のわからない鳥との出会いに喜ばされる。藪椿も美しい。一周して2km程度、歩いて1時間半程であった。



摩尼堂


三の堂


 ちょうど正午レンタカーを返し帰路へ。ご当地B級グルメで前日の昼食は「加古川カツライス」を食べたので二日目は「明石焼き」を食べようと明石で途中下車。たこ焼きとはちょっと違うがなかなか美味しい。駅前に明石城なるものがあり見学。江戸時代の城で角櫓が現存。城域も広く石垣も立派、堀も深い。松平氏 6万石という。城の高台より明石大橋が望める。本当は日本標準時の天文科学館にも寄りたかったのだが休館日で時計台だけ遠望して帰路に。


始めての「18切符」での旅。座れるかどうか危惧していたがずっと大丈夫。在来線の車窓は播磨灘を眺め、伊吹山の威容に驚きそしてなんと近江長岡辺りでは田んぼに遊ぶお猿も見つけた。




     山道にいま陽のさして囀れり