冬至

老いるについて」 浜田 晋著

 また、浜田先生の本を借りてきた。

 この本で浜田さんは、「呆け」と「痴呆(認知症)」は違うとかなり強調しておられる。ひどい物忘れ、好奇心がなくなる、整理ができない、鍵をかけ忘れる、うっかりミスが増える、こういうのは年齢相応の「ぼけ」だと言われる。これに対して「痴呆」、主に「アルツハイマー型痴呆」は脳の器質的病変を伴う特有な精神状況で、臨床的な診断は特有な人格障害CTスキャンMRIなどによる画像診断に依るらしいが、その画像診断も簡単なものではないらしい。そのため年齢相応の「ぼけ」が「初期認知症」「軽症認知症」と誤解されて、無駄な投薬などがなされているというのだ。浜田さんはは「認知症」の特徴として25の観点を挙げておられるが、それを読んでつくづく考えると、姉などは「認知症」というより「ぼけ」ではないかと思う。一時期精神的な混乱状態だったことはあるが、今は物忘れはひどいが人格障害もなく穏やかで環境に適応しているようにも見える。誰かいっしょに暮らしてやるものがいればああいう施設で閉じ込められたような暮らしをすることはないのではないかと思ったりもする。もちろんこの浜田さんの考えは一昔前のものであるから「認知症」についての判断も最近は違ってきているかもしれない。

 

 昨日から昼間は少し暖かくてやるべきことをやらねばと思うのだが、体調が今一歩で気が乗らない。今日は予定をこなさぬうちに、もう陽も傾いてきた。「ほこりが溜まっていたってお正月さんは来る」そんなことを昔、母が言っていたような気がする

 

 

 

 

     ライト点け冬至の朝の動き出す

 

 

 

 

老いるについて――下町精神科医 晩年の記

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