草紅葉

 体調が戻ってきたせいもあって姉のことが気になっていた。陽気のいいうちに一度顔を見に行かねばと甥と連絡をとる。休日でちょうど施設訪問中の甥が電話をしてくれ、ひさしぶりにに姉と話す。普通の会話ができ元気で、いい意味でびっくり。小規模の介護施設に移ってよかったようだ。そのせいか認知症のほうもさほど進行していないようだ。「ご飯が美味しくて若返っちゃた、もう一回恋をしようかしらん。」と言う一方で、「話す人がいないから寂しいのよ。」とか「なんにもすることがないのでぼーっとしてるだけなの。」とかいろいろ訴えていたが、端で聞いていた甥の話ではリビングで皆さんとワイワイ楽しくやっているらしい。田辺聖子さんがこの前読んだ本で老母のことを書いておられたが、老人特有の同情と関心を得るための言動らしい。いずれにしてもちょっとホッとした。近いうちに顔を見にゆくことを約束して電話を切った。

 歳を重ねるというのは本当に難しい。姉の入っている介護施設のホームページを見ると介護保険を使っても相当の自己負担がいりそうだ。我が家の経済では夫と二人で入るようなことはとても出来そうにない。先のことを考えれば気が重くなるだけだ。

 

 

 

 

     下宿屋の跡かたもなし草紅葉 

 

 

 

 

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