おしろい花

 おしろい花は不思議な花だ。日差しが弱くならないと咲かないし、強まるとすぐに閉じてしまう。一昨日の場合、日陰では四時半ごろ、日向では五時過ぎと微妙に違う。朝も八時にはもう萎んでいた。このぶんだと雨の日はどうかしらんと思うのだが。

 子どものころ、よく遊んだKちゃん。ひとつだけ年上だったわりには人形の洋服づくりが、とてもうまかった。本物のパターンを真似て裁断し、綺麗に手縫いをして、ちゃんと着せ替えの出来る出来栄え。四角い布切れに首と袖だけ穴を開けたような作りをしていた身には驚き。「Kちゃんは器用だな」と感心していた母は、不器用な子に情けない思いをしていたかもしれぬ。大人になって道ならぬ恋の果てに子を孕み、その子も亡くしたと伝え聞いたが、その後は知らない。

 Kちゃんちの家の前におしろい花がたくさん咲いていて、黒い実から白粉を集めたことを覚えている。幼い頃の夏休みの思い出。

 

今日は二十四節気のひとつ、「処暑」。暑さが少し緩んでくるの謂。

 

 

 

 

   おしろいが咲いて子供が育つ路地   菖蒲 あや

 

 

 

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