冬の日

「丘の上のバカ」 高橋 源一郎著
 ものを書くにも書く人の姿勢というのは現れるものだと思う。図らずもこの本で取り上げられているオバマさんの広島での演説がアメリカ大統領という公人としての姿勢をはみださなかったように。(あの演説にはなんとなく違和感があったのは「私たち」という言葉にあったんだとこの本で読み、今更ながら納得)その点、源一郎さんはいつも「私」から始まる。おかしいと思ったことを一段一段階段を上るように飾らないわかりやすい言葉で語ってくれる。彼に好感を持つのは何よりも其処のところかも知れない。この本の前半は去年の朝日新聞の論断時評や新聞の記事から。改めて読むと去年の熱気はどこへ行ったのか、今や「駆けつけ警護」が現実となった。なにもしなかった身としては複雑な気持ちだがやっぱり今もなんにもしてない。

「自分という『メートル原器』がさびつかないように手入れを怠らないこと」―もっと「速さ」をから

これも難しいことだけど、なんとかそれなら出来るかもしれない。




     冬の日の三時になりぬ早や悲し   高浜 虚子