爽涼

 偶然にも夕刊にねじめさんへのインタビューが掲載されていた。「荒地の恋」について言及されており、やはりという感があった。毒があり狡猾な人間に描かれている田村隆一と比べると北村太郎の描写には同情と厚意が感じられると思っていたのだ。ねじめさんは「夜明け前の新宿駅でぽつんと立っている姿を拝見しました。私の人生で今まで見たなかで最も孤独な人間の姿でした。」と語っている。その時声を掛けなかったようだが、その孤独を書ききったのが先の本だろう。北村の詩「八月の林」をもういちど読んでみた。炎夏の林で死んだように動かない男の寂しく哀しい詩だ。


 迷走台風での被害甚大に心が痛む。ちょうど今頃富良野に行ったことがあるが、メロンととうもろこしは言うまでもなく一面玉ねぎの収穫期だったことを思う。
 W杯予選、まさかの初戦敗北。疑惑の笛にH殿は怒り心頭。窓を閉めるのも忘れて寝たとのこと。後味の悪い試合だった。



     爽涼や海猫(ごめ)の胸はる運河べり



芙蓉