椎の花

 今、読んでいる本について少し。村上護「虹あるごとく 夭折俳人列伝」取り上げられた何人かの中の一人、鈴木しず子。戦後間もない頃、大胆に性や肉体を詠んだ個性的な俳人である。著名な一句に「夏みかん酸っぱしいまさら純潔など」彼女は夭折ではない。若くしての断筆、行方不明とも言おうか。その彼女の最後の住所がわが町なのだ。そのことはこの本を読むまで知らなかった。俳句の友達のKさんのお宅の近くと知り。早速聞いてみた。彼女はまだ子供だったこともあり、本人と会ったわけではないがそれらしき人がいたのは後々知ったということだった。伝説の俳人ということで出版社やTV局訪ねて来たこともあったらしい。しず子の恋人の黒人兵は朝鮮戦争がきっかけで亡くなったようだが、松本清張「黒地の絵」にも朝鮮戦争の兵士供給基地としてわが町の名前が出てくる。戦後の暗い歴史の一端である。
 金華山の椎の花が真っ盛りである。岐阜城を攻め上るように盛り上がって咲いている。


     金華山てふ名の由来椎の花

虹あるごとく―夭逝俳人列伝

虹あるごとく―夭逝俳人列伝