鳥の巣

 畑に捏ねた柿の剪定枝から、鴉がひと枝ずつ引き抜いては運んでいる。巣作りの材料だ。見ていると手頃な長さを選別しているようにも見受けられる。毎年近くの電柱に巣組むが今年は見かけない。どこに作っているのか。
 去年は鎮守の森が鷺の子育てで占拠され、それは大変だった。今頃から秋まで、時には何百羽という鷺の群れで、鳴き声と悪臭に閉口した。冬の間の大胆な伐採と枝打ちで今年の春は大丈夫のようだ。自然と人の共生といってもなかなか簡単ではないと、痛感した出来事だった。


     鳥の巣に鳥が入ってゆくところ  波多野爽波