「秋は夕暮れ
夕日のさして山のはいとちかうなりたるに からすのねどころへ行くとて
みつよつ ふたつみつなどとびいそぐさへあはれなり」
よく知られた『枕草子』の一部である。
やっと猛暑も抜けてきて朝晩はことに過ごしやすくなった。夕方、暮れかける前に歩けば全く千年以上の昔と同じ景色。たそがれた東の空の一角にからすが次々と湧いて西の空に消えていく。なんだかとても不思議な気持ちにさせられる。
夕方を選んで野焼きをする人。刈り取った草を片付けねばならない。
『旅のなかの旅』 山田 稔著
県図書館で山崎佳代子さんの本をさがしていたらすぐお隣にあった一冊。まだ読んでない山田さんの本で小躍りして借りてきた。
もう四十年も前の旅の話で無論山田さんもまだ若くやや無謀だ。旅先はギリシャとモロッコとスコットランド。モロッコ編はまだだがギリシャもスコットランドも安宿を選んだ失敗談やら気のむくままの旅が思いがけない出会いをもたらしてくれた話などありきたりの旅報告でないのがいい。そうそうちょっとしたロマンスの香りも漂う。
それにしても山田さんがこんなにお酒好きだったなんて意外。海をを見ながら感傷に浸りつつ飲む一杯のビールなんて、それは美味しいでしょうね。
山田さんおいくつになられたでしょうか。
秋風に揺るるものみな夕映えて
- 作者: 山田稔
- 出版社/メーカー: 白水社
- 発売日: 2002/07
- メディア: 新書
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