『関東大震災』 吉村 昭著
防災の日もあったことだからと読み始めたが、重い内容でいっこうに進まず時間がかかった。読了して始めて知ったことはいろいろある。震災の死者が圧死より焼死が多かったこと、流言飛語による朝鮮人狩が言語を絶する規模であったこと、混乱に乗じた憲兵による大杉と伊藤と甥の殺害の真実などなどである。
いずれも酸鼻の極みで読むに耐えない内容であったが、後者の二つは天災ではなく人為的な悲劇であるからよけいにいけない。全くの流言飛語に一時は公的機関もマスコミも踊らされたのである。
最近の売れればいい主義、見られればいい主義にこの時の教訓を思い出せという意見があったが全くそのとおりだ。わたしたちも迂闊にひとの尻馬に乗らないようにしないといけないと思う。
南海地震の警報出たら名古屋市の海に近いところに住むY一家は我が家に避難するといっている。耐震が低い我が家としては車庫にでも小屋掛けするかと冗談めかしているが、どうか冗談だけで終わってほしい。
秋茄子嫁で仕えず嫁持たず
- 作者: 吉村昭
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1977/08/25
- メディア: 文庫
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