露けし

 池内紀さんが亡くなった。78歳だったとのことで、あまりにもお若い。『すごいトシヨリ』を読んだのはまだ去年のことだったのでその変わりようには驚くほかない。

 このブログでも池内さんの本については随分書いてきた。もっとも専門的なものはなくて軽い読み物ばかりだったが、ともかくあの文体が好きだった。もう新しい本は望むべくもないかと思うと寂しい。深い知り合いを失ったような気持ちだ。

 体調を崩されていたとは聞いていたが、死因は「虚血性心不全」とあったから死は突然のものであったろう。この歳になれば終の訪れはいつあってもおかしくないと覚悟しておかねばならないとつくづく思う。

 母の一張羅に鋏を入れた。日常的に着られるものにと『すてきにハンドメイド 8月号』の「高橋恵美子 手縫いできものリメイク」を参照、ベスト風はおりものを縫っている。不器用な身には手縫いはなかなかハードルが高いのでミシンを使えるところはミシン縫いにしている。母はこの着物を五十代に着ていたが今の私には地味だという気がしないでもない。

 

 

 

 

        露けしや終の待ち伏せどのあたり

 

 

 

 

f:id:octpus11:20190906080644j:plain