終戦日

『帰郷』 浅田 次郎著

 戦争体験はない作者による戦争文学である。すべてフィクションではあるがどれもがありえたと思える話である。

 表題作の「帰郷」は玉砕の島から九死に一生を得て帰った男の話である。残した妻や子に会えるのを生き抜く励みに帰郷すればすでに戦死をしたと墓石まで作られ、さらに妻子は弟の家族になっていたという悲劇。こういう事実はうちの町内にもあったことで戦死が真実だと信じられてきたからこそ悶着はおきなかっただけである。

 「無言歌」は太平洋の海底に沈んだ潜水艇の中での緩慢な死の話。

 先週はテレビで「ガダルカナルの地獄」を見たし、今日は少し前の話題のアニメ「この世界の片隅で」も見た。

 生きてきた74年、戦争を知らない世代でほんとうに良かったと思うばかりだ。

今日の正午にはそういう思いも含めて亡くなった人々へ祈りを捧げた。

 

 さて、台風も含めて例年になく落ち着かない盆であった。

 

 

 

 

 

     ぶすぶすと烟る残り火終戦

 

 

 

 

帰郷

帰郷