『絶版殺人事件』 ピエール・ヴェリー著  佐藤 絵里訳

 図書館の新刊コーナーで立派なミステリー本を見つけ、雨のつれづれに読む。作者はフランス人、作品は第一回フランス冒険小説大賞を受賞とある三十年前の作品だ。

 謎を解くのはフランス人の引退した古文書管理人だが事件の舞台はスコットランドである。なぜだろう。謎めいた事件といえばイギリスの方が舞台装置としてはいいのかしらん。

 あけすけの感想を言えば星三つかなである。同じ舞台で関係のないふたつの事件がからみあって複雑だがすっきりした読了感がない。古い手紙が事件の発端になるのだがそれがなぜ犯人の手に渡ったのか説明がない。読み落としたのかと読み返してもわからぬ。犯人が手紙を元に画策に走る過程がわからぬ。だから謎解きをされても納得感に乏しい。

続けて二冊読んでミステリーはもういいなと思う。

一日中本を読んで動かぬのでH殿は「勉強のしすぎ」と揶揄する。梅雨が明けたらやらなければならぬことはいろいろあるのだがこの天気ではどうにもならない。

 

 

 

 

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絶版殺人事件 (論創海外ミステリ)

絶版殺人事件 (論創海外ミステリ)