囀り

 一週間前のMRIの結果を聞きに行く。病院は今までになく混み合っており待合室の椅子も探さなければないほど。用心にマスクを取り出して掛ける。だれも同じ気持ちらしくみんなマスクをしている。指定時間から一時間も遅れてやっと呼ばれる。

 結果はいいと言えばいいのだが少しだけ気になるところもあり。映像では白いぽつんとした点なのだが、まだ腫瘍が残っているのかそれとも腫瘍が消えたあとの炎症なのかそこがはっきりしないらしい。四月にまた内視鏡とPETの検査をするのでまあ前向きに様子を見ましょうということになる。従って当人としても心配はしていない。しかしながら池江選手のことを考えても生身の人間には先のことはわからない。今日の待合室でも池江さんのことを心配気にぼそぼそ話している人もいた。

 長い待ち時間の間、岩波新書柿本人麻呂』を読む。古い新書である。1973年の刊行。多分TがBOOK・OFFで買ってきたものらしく105円のシールが付いている。反りもたわみもなく新刊のようにきれいである。1973年の「新刊案内」が挟まれている。1973年は母の死んだ年だったなあとかオイルショックの年だったとかいろんなことを思い出す。吾輩はなんとまだ二十代だ。

 さて読み始めたのは梅原さんと違う普通の史学者の人麻呂像を知りかったから。まだ半分だが正史に出てこないのでやはり推測する部分が多い。

 

 

 

 

         囀りの賑々しさに目覚めけり

 

 

 

 

柿本人麻呂 (岩波新書 青版 869)

柿本人麻呂 (岩波新書 青版 869)