『83 1/4歳の素晴らしき日々』 ヘンドリック・フルーン著
ヘンドリックの残りの一年間を追体験した。オマニドクラブを立ち上げたヘンドリックたちは半月に一度のエクスカーションを企画し、映画会や動物園訪問・料理や絵画のワークショップなど楽しい時間を共有する。ヘンドリック自身も赤い電動カートを手に入れ自由な遠出も楽しんだりもした。
しかし、老いの進行は容赦のないものだった。オマニドクラブの八人にも辛い現実が襲った。エヴァートは糖尿病の悪化で片膝下の切断を余儀なくされたし、フリーチェは認知症の症状が出てきた。そしてヘンドリクが半世紀前に出会いたかったと思いを寄せた貴婦人エーフェは脳卒中で帰らぬ人になってしまった。
悲しみにくれながらもヘンドリックは新しい年に期待を繋ぐ。
計画があるかぎり、人生は終わらない。午後に来年の予定表を買いにいこう。それから新しい日記帳も。
楽しい老後とはどんなものか、どう考えればいいのか。ヘンドリックの年齢までまだ十年はあるが、ひとつの示唆を与えてくれる一冊であった。
ところで、この本には「安楽死」の話がよく出てくる。何でもオランダは「安楽死」が合法化されている国らしいが、望めば簡単にできるというものではないらしい。家庭医とよく話合った上で医者も同意したらとのことで、ヘンドリックもそれとなく家庭医に話を切り出していたが、まだまともに相手にされてなかったようだ。
Yからメールで今度の正月は久しぶりで一泊すると連絡があった。こちらの体調が思わしくなく孫たちも大きくなって日帰りばかりだったので泊まりは久しぶりだ。H殿が喜んで手伝ってくれるというので期待している。みんなに甘えて楽しい新年会ができればいいと思っている。
玻璃ごしの聖樹の滲む夜の雨
- 作者: ヘンドリック・フルーン,長山さき
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2018/10/05
- メディア: 単行本
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