薯畑

 『猫を抱いた父』  梯 久美子著

   梯さんはノンフィクション作家としての仕事が著名であるが、この本はエッセイ集である。もちろん本業同様真摯な姿勢が感じられる作品集である。内容は家族のことや子供時代あるいは故郷での話、成人後東京に出てきてからの体験や出会った人の話、そして取材をとおして知った戦争に係る話である。最後の戦争に係る話は死者の残した戦地からの便りや残された者たちの悲しみの歌などに触れたものだが、この本を読んでエッセイだけでは掴みきれないその種の話をもっと読んでみなければと言う気持ちにさせられた。八月に戦争ものを読むのは毎年の行事だが来年はこの人の『散るぞ悲しき』にするかなと思う。硫黄島玉砕時総指揮官栗原忠道中将の評伝である。

 

 田舎はどんどん人が減っているというが我が家周辺は同じ田舎でも新しい住宅が増え人口は急増している。家が属する班でももともとの住人は我が家を含めて三軒だけで残りの十二軒は新しい住人であり外国名の方もおられる。身近にドラックストアが出来、最近はコンビニもで出来た。そしてドラックストアやコンビニの前は何だったかすぐに忘れてしまう。そのコンビニの店員さんは外国の人だったと家人が言っていた。予測出来ない速さで世の中が変わっていく。

 

 

 

 

     薯畑が消えてコンビニ眩しかり

 

 

 

 

猫を抱いた父

猫を抱いた父