木の実

縄文人からの伝言』   岡村 道雄著

 東京博物館での「縄文展」が見たい。大阪や京都ならいいが東京まではちょっとある。体力的にもまだ自信がもてない。そんなこんなでせめてテレビの関連番組を見たり、こういう本を読んだりというところである。

 縄文時代は約一万五千年前から始まり一万年も続いたという。全く途方もない長さである。もちろん今と同じで自然災害はいろいろあったのだろうが、戦もなく平和だったというのである。

 この本で新しく得た知識のひとつは縄文人の家屋が茅葺きではなく土屋根だったということ。つまり復元家屋などが茅葺きになっているのは間違いで土屋根こそが涼しくて暖か、日本の風土にあったものだったということだ。また、あの個性的な土器や土偶の製作者がおそらく女性であったというのも初耳だ。その根拠として土偶はほとんどが女性を形象化したものであり、その「性的表現が男性の目線や意識によるものではない」からだという。土器の表面に女性らしい華奢な爪あとがあるのもあるらしく、すっかり男性の制作だとばかり思っていたから、縄文時代の女たちはどういう思いに突き動かされてあのような力強い表現をしただろうかと、いまさらながら興味深い。

 折りも折り、今朝の新聞に「渥美半島に『骨太』縄文人集団」なる記事があった。渥美半島の保美貝塚から出土した縄文人の上腕骨が他地域の骨より極端に太いというのである。おそらく積極的に海に出て舟をこいだ生活が関係しているらしい。この本でも縄文人の交易に触れているが、彼らは思っている以上に遠出もし、思っている以上に豊かな暮らしをしていた人々らしい。

 筆者は縄文時代の暮らしにこそ今に通じる日本人の暮らしのルーツがあるとして、急速に自然と乖離しつつある日本人の暮らしに警鐘を鳴らしておられる。

 

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  写真はうちの街の縄文遺跡から出土した土器である。火焔土器ほどではないがそれでもなかなか遊び心のある土器の数々ではないか。

 

 米屋と肉屋と岐阜県図書館、コメダ、スーパーに寄る。米屋は少し遠いが目の前でブレンドして精米をしてくれる農協直営店。今日は八の米の日で割引が大きく外せない。同じおもわくの人で混んでいる。肉屋はスーパーで手に入りにくい肉の時に寄る。岐阜県図書館は本当に久しぶりに出かけたのだが市の図書館にないものがあってわくわくした。少し距離があるが時々寄るのもいいなと思った。石井進さん、山田稔さん、落合恵子さん、南木佳士さんを借りる。

 

 

 

 

     三内丸山北のまほらの木の実かな

 

                 *二回目の掲載ですがあえて

 

縄文人からの伝言 (集英社新書)

縄文人からの伝言 (集英社新書)