秋暑し

 『ブンミおじさんの森

 またぞろ相当に暑い。冷房に閉じこもって少し前に録画した映画を観る。タイの映画でパルムドールを受賞したというお墨付きである。ところがこれがとんとわからない。

 主人公はブンミという農場を営む男。透析を受けているらしく残り少ない余命を感じて妻の妹を呼び寄せる。そこに何年か前に亡くなった妻が亡霊として出てきたり、行方不明になった息子が猿の精霊に変身して現れたりするのだが、ブンミも客人も誰も驚かない。亡霊も加わった普通の暮らしが淡々と続く。そして突然の全く異次元の顔が醜い王女の伝説のような話の挿入。結局ブンミは森の奥の洞窟で「ここはまるで母の胎内のようだ。」といって亡くなる。一転今風のタイのお葬式と幽体離脱のような現象があってその後突然のエンディング。しかし、エンディングの音楽はいい。

 見続けたらわかるだろうと思った期待は見事に裏切られて、意図は最後までちっともわからなかった。こういう作品はわかるわからないより感じればいいのかもしれないが合理思想に相当毒されている身にはあまり響かなかったも事実だ。

 

 このところずっと「布つなぎ」で遊んでいる。H殿が「何を作っている」と聞くけれど本人にもわからない。ただ端切れをログキャビン風にポジャギのやり方でつないでいるだけ。石牟礼さんも針を持つことは心が鎮まるといわれたが全くそのとおりである。数がたまったら何かになるかもしれないが今のところは不明。

 

 

 

 

     いちだんと紅きルージュや秋暑し

 

 

 

 

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