『綾蝶の記』 石牟礼 道子著
逝去後のエッセイ集である。三部に分かれていて、変わらぬ水俣病に関しての発言や自分史についての講演・インタビューや対談・書評も含む。私なぞにはとても掴みきれぬ人であるが、石牟礼文学に脈打っているものは言葉以前への感性への関心というか憧憬というかそんなものであるような気がする。白川静先生へのなみなみならぬ敬譲も梁塵秘抄への傾倒も、神や仏、聖なるものとの原初の交信を追い求めてのことにちがいない。
「人間社会にほうり込まれて見れば、この世界は、大自然の中ではまことに人工的、計算的で従って矮小で、毒臭さえ放っている。」と言わしめたこの世から飛翔して、今は無限の光のなかで綾蝶(あやはびら)として羽ばたいておられるであろうか。
今日は長い間気になっていた換気扇フィルターの掃除をする。いつもあまり汚れないうちにと思いながらついつい億劫で一年に一回になってしまう。暑い時期のほうが汚れが落ちやすいと大決心で開始。面倒なことに取り組むだけ気力が回復してきたかな。
当地は今日も40度近い猛暑となりそうだ。
赫々と火星接近熱帯夜
- 作者: 石牟礼道子
- 出版社/メーカー: 平凡社
- 発売日: 2018/06/25
- メディア: 単行本
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