新聞の書評欄で蜂飼耳さんが推奨されていたので、早速読む。辛い悲しい話だが救いもある話だ。著者はアメリカ在住のインド人で、この話はほとんど著者の体験に基づいた自伝的話だという。
主人公アジェ一家は彼がまだ小学生のうちに一家をあげてアメリカにに移住する。家族の夢は優秀な兄が医師にでもなって、かの地で成功を収めることにあるのだが、期待の兄が事故にあってしまった。寝たきりになった兄をめぐって母は必死に介護に明け暮れ、父は絶望のあまりアルコールに逃げようとする。不安定な暮らしの中で時には罵り合い時にはいたわり合い、祈りながら忍耐強く続けられていく家族、そして成長していく少年。
人の一生が思いもよらぬ出来事で曲げさせられたり中断させられたりというのは決して珍しいことではあるまい。いくつかの事例のひとつであっても当事者にとっては受け入れがたい理不尽な話だ。そうした話のひとつとして、長い苦しみと祈りの果てにたどりついった平安と光に読者もまた安堵をする。
長鳴りの電話はるかに春眠し
- 作者: アキールシャルマ,Akhil Sharma,小野正嗣
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2018/01/31
- メディア: 単行本
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築九十年にもなろうという我が家の檜。かっては「防風林」として植えられたのだろうが、長年放りっぱなしで枝は伸び放題、鳥達にとっては楽園だったようだが家を傷める心配などもあり剪定をしてもらうことにした。やっとちょうどよい業者さんにであったこともある。今日からその作業が始まったがどんなふうになるか。