『入門俳句の表現』 藤田 湘子著
藤田湘子の俳句も好きだが、作句指導書も好きだ。この本は「俳句研究」の読書俳句欄での選評をまとめたもので、一般投句のうちから選んだたくさんの秀句が引用されて、とても勉強になり、再読である。
(名句は)すべて「朗誦するにふさわしいリズム」によって成立しているし、そのリズムは大方「切れ」や「切字」の効果から生じたものであり、それはまたみごとな省略によって可能になった。
こうした考えに基づき「切れ」「リズム」「省略」の大切さを繰り返し説いている。
この他「古い情趣は捨てよ」とか「ユーモアを持て」とか「詩心が大事」とか作句に向かう心構えを説く項もあれば、「動詞はつつしめ」とか「『で』は使うな」「擬人法は要注意」と具体的な技法にふれた項もある。
ときどきは納得して読んだのだがなかなか身につかぬのが凡人。いつもいいかげんなものを出していて恥ずかしいかぎりだ。
それにしても最近は湘子さんのようなきちんとした指南書を出す人が少なくなったなと思う。
連翹や垣を隔てて農学部
- 作者: 藤田湘子
- 出版社/メーカー: KADOKAWA/角川学芸出版
- 発売日: 2002/12/07
- メディア: 単行本
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