大寒

「生き上手 死に上手」  遠藤 周作著

 題名に惹かれて読んだが面白くなかった。随分死ぬことを恐れていろいろ書いておられるが、筆者六十代後半、いまならまだまだ若いといってもよい年齢である。文中、ある集まりでふとしたことから「死ぬのはこわいか、こわくないか」という話になった時、男たちが情けなくも「こわい、こわい」と正直に告白すると、居合わせた女性たちが「全くこわくない」と言い返す話がでてくる。癌でも病を笑い飛ばすように書き続けた佐野洋子さんなどを思うと、女性の方が肝が座っているといえるかもしれない。さてお前はどうか問われれば、今のところはさしたる切迫感はないが、どうなるであろうか。この本にもキューブラー・ロスの話が出てくるが「死は繭(肉体)を残して蝶になる」という考え方には心惹かれる。熱心な信仰者ではないが、そういう考えを頭から否定しようと思わないところにわたしのやすらぎもあるかもしれない。

 

 今日は二十四節気のひとつ、「大寒」である。来週はこの冬一番の寒気の流入がありそうで、今から戦々恐々。掲載句は長野オリンピックの時のもの。街角に立って聖火のやってくるのを待った思い出がある。もうすぐ冬季オリンピックらしいが、あまり「メダル、メダル」と言わないほうがいいように思うのだが。

 

 

 

 

     大寒の待つ一点に聖火見ゆ