冬籠

「すごいトシヨリBOOK」   池内 紀著

 池内さんの文章が好きで随分いろいろ読んだが、これは肌いろが違う。あとがきを読むとどうやらテープ起こしをしたものらしい。だが、池内さんらしいところがないわけではない。例えばいろいろ記録をする、自分なりのルールを作る。記録はワインやせんべいのラベル集め、ホテルのコレクション、なによりも自らの老いの兆候というのもある。こちらも記録好きだから気持ちはわかるがそこまでは徹底していない。自らの老いをもとに薀蓄を語ったのがこの本なのだが、要は「成り行きに任せてこだわらない」ということ。眠れなければ眠れるときに眠ればよいし、病になれば苦痛がなくなる程度に治せばよい。老いて支障がでてくるのを悲劇に感じないで喜劇とみればよい等々。そして、ちょっとおしゃれをとは意外?ユニクロL.L.Beanがご贔屓のようで親しみがもてる。まあなんて言うこともない一冊でした。相変わらず人気はあるようで、借りてきたのは七刷版でした。そうそう池内さん77歳、5歳上です。

 

 

 

 

     田舎家を小さく住みて冬籠