「言の葉さやげ」 茨木のり子著
言葉について書かれた一冊。不覚にも今まで「茨木のり子」という人がこれ程の人とは知らなかった。凛とした姿勢に貫かれた、鋭利な刃物のような一冊。私たちは「ありあわせの、間にあわせの、思考と言語で話しすぎる。自分の心情に密着した過不足のない表現を探そうとしなさすぎる。」とあるが、詩人ならではの視点で取り上げられた問題もそれを語る表現もまさに的確。彼女の詩のように大股で突き進んでくるような小気味よさがある。本の後半は詩人についても語るが、かの谷川俊太郎さんに対しても、盲点は見つからないと評しつつ、モンロー好きだけはいただけないとするのは、姉貴分というか、「現代詩の長女」の面目躍如というか、楽しい。
この本に刺激されて谷川さんの『ことばあそびうた』のいくつかと、井伏鱒二『厄除け詩集』を楽しんだ。俳句もいいけれど詩もいい。何となく難解なイメージで敬遠してきたのだが。
さて、今宵は鱒二先生なみに「蛸のぶつ切れ」を、それも「塩」でいきますか。残念ながら当方長き禁酒中。
空低し雨に沈みて夏至の町
- 作者: 茨木のり子
- 出版社/メーカー: 花神社
- 発売日: 1975/11
- メディア: 単行本
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