アマリリス

「ふたりからひとり」 つばた英子 つばたしゅういち著
 先に読んだ「あしたもこはるびより」から五年後のお話である。題名からも察せられるとおりしゅういちさんは亡くなり、ひとりになられた英子さんの話。人の死に僥倖などということはありえないが誤解を恐れずに言えば幸せなお亡くなりかたであったのではないか。享年90歳。亡くなった日も6時に起きて外仕事をされ、少し疲れたと横になられてそのままだったという。全く羨ましい最期である。一人暮らしになられた英子さんも87歳と十分なご高齢である。普通ならずるずると萎えてしまいそうな状況なのにしっかりと暮らしのリズムを維持しておられる。「自分で自分を鼓舞」していると言われるが、無理をされているようにも思えぬ自然体である。これにはしゅういちさんの生前の言葉も収録され、お二人の考え方がよくわかる。「お金よりも大事なものはたくさんある、そういう風に感じられる人間が、底辺にたくさんいると、世の中は変わっていくんじゃないかな」としゅういちさんの言葉。「長い時間をためたひとつのストーリーを届けられれば・・・暮らしていくうえでのなにかの知恵のような、」それが年寄りの仕事かなとしゅういちさんは語っておられるが、確かにたくさんの元気や知恵や思いやりの心をこの本からいただいた。




     マリリス親指姫は花のなか




ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~

ふたりからひとり ~ときをためる暮らし それから~

  • 作者: つばた英子,つばたしゅういち,水野恵美子,落合由利子
  • 出版社/メーカー: 自然食通信社
  • 発売日: 2016/11/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
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