桜貝

「今に生きる親鸞」 吉本 隆明著
 一昨日の午後から、緩んだ身心を縮み上がらせる寒さ。雪も舞い、薄っすらと積雪も。

 またも「親鸞」について考えている。昔読んだことがある本だが、吉本さんがどう言っていたのか気になって再読した。一貫して語り言葉で書かれており、わかり易く読み易い。親鸞の信仰(思想)とその最終到達点を、噛み砕いて丁寧に解説。かの「悪人正機」についても同様である。「意図的な善」はひけらかしたり強制したり悪を咎めて「本質的には善と悪との転倒を生み出す」。親鸞はそこを十分を洞察していたからこそはからいの善より仏の慈悲に委ねるしかない自覚した悪の方が本願に近づきやすいと言ったというのだ。この考えは宗教の正義に名を借りた今の争いを見ても非常によくわかることで、吉本さんは「善悪の問題がどんどん身近に迫って来る」現在、親鸞の考え方は参考になるのではないかというようなことを言っている。他にも親鸞の「浄土」の考え方なども解説されているが、総じて親鸞の信仰というのは今の時代の人間にも受け入れられるものだと思う。まあ、私のような凡人ではとても捉えられない親鸞さんではあるが、知れば知るほど先人としてこういう内省的な宗教者・思想家がいたことに驚かざる得ない。

 WBC、思ったより順調な勝ちでまずまず。観戦しないで他ごとをしている身にH殿が点の入るたびに大声で報告してくれた。スポーツはいいですね。




     少年の少女に呉るる桜貝




今に生きる親鸞 (講談社+α新書)

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