地虫出づ

法然親鸞一遍」 釈 徹宗著
 「浄土真宗は何か」に続き浄土仏教について。たまたまTの本棚にあったので引きずり出してきただけで、特別に宗教的悩みがあるわけではない。三人の浄土仏教宗教者を比較、三者の相違を考察したものだが、読み易そうというだけで簡単に理解できるものではなかった。法然さんと親鸞さんについては先日読んだ本でもかなりわかったつもりでいたが一遍さんの信仰については始めてである。凡人の頭で三人の信仰を比べれば、法然さんの信仰が一番わかり易く親しみが湧く。わが宗派の開祖親鸞さんはあまりに厳しくついていけそうもないし、一遍さんは極端すぎる。しかしひととなりを考えれば、法然さんは凡人を超越した人格者で自力で悟ることも出来そうな人。ちょっと近づきがたい感じがする。これに対し親鸞さんは悩みを打ち明ければ真剣にいっしょに悩んでくれそうな人。一遍さんは悩みなど笑い飛ばして「踊ろう、踊ろう」と誘ってくれる人かもしれない。こんないい加減な受け止め方で著者に叱られそうだが大まかな読後の印象で凡人のたわごととご勘弁いただきたい。いずれにしても浄土仏教は「凡人のための仏教」「弱者が救われる仏教」ということはよくわかった。


 今日は二十四節気のひとつ「啓蟄」地虫が出る頃の謂である。昨日は久しぶりに庭仕事をしたが陽だまりには蟻おり、テントムシおりと少しずつ賑やかになってきた。




     地虫出づふさぎの虫に後れつつ   相生垣 瓜人




法然親鸞一遍 (新潮新書)

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