囀(さえずり)

浄土真宗とは何か」 小山聡子著
 面白かったからとTから回ってきた新刊の一冊。親鸞以前の宗教環境から説き起こし現代までの浄土真宗の宗教観や歴史に触れたもので、内容のある一冊だった。「称名念仏」一筋といっても親鸞法然の違いなどよく考えもしなかったのだが、この本で始めて知った。また、親鸞その人や歴代の継承者にもあった信仰の揺れについても実証的な記述でわかりやすかった。他力に徹するということは易行のようで決してそうではない。われわれ凡人ならずとも実態の見えない唯一のものに委ねてまかせきるというのはいかに難しいかということであろう。ましてや病気などになれば神仏を頼るしかない時代である。呪術に頼ったりそれを売り物にした人があっても批判はできないということだ。揺れがあるからこそ人間らしいともいえようか。この本では真宗教団の礎を築いた蓮如についても詳しく書いている。門徒である我々は子供の頃から親鸞より蓮如ついて多く聞かされてきた。「御文さま」という流麗な和文が蓮如作だと知ったのは大人になってからであるが、そこで繰り返し聞かされた「南無阿弥陀仏」という信仰は身体に染み付いている。だが、他の神仏にも参り現世利益もお願いするのが日常だ。その点からも親鸞すら超人ではなかったというのは、心安らぐ話だ。


 
 一昨日「東海地方に春一番」のニュース。おやおやと思ったのだが吹いたのは静岡県のみ。こちらは終日雨の寒い一日でした。同じ東海地方でも随分違います。昨日は北風が強くなかなか春らしい日は巡ってきません。今日は日差しがあるようなので少しは暖かでしょうか。





     いっせいに降りそれぞれに囀りぬ