剪定

 NHKの「ブラタモリ」を楽しみにしている。この番組でわかったことは「人の営みは大地に規制される」ということ。当たり前のことかもしれぬが深く考えたこともなかったのでとても新鮮な切り口に思えた。そんな折、市の広報で「『各務原台地を知る』地層・地形探検バスツアー」が紹介されていたのでH殿と一緒に参加。
 わが市は大半が各務原台地のうえに広がる町で現在は約14万強の人口を有するが江戸時代までは荒涼たる原野であった。台地を横切って中山道が通っているが人家もなく追い剥ぎ伝説もあり、今でも六軒二十軒などという地名が残っているほどだ。これは台地で水の便が悪く、米作りに適さなかったからで、この原野に明治以降陸軍が飛行場を作り今も広大な面積を航空自衛隊の飛行場が占める基地の街だ。
 
 さて、この「各務原台地」がどう出来たのか。案内役の先生によれば、大きな役割を果たしたのは木曽川御嶽山である。台地を作っている地層は御嶽山の噴火で出来たり噴出したものが木曽川に沿って流れ下って堆積したもの。まずはこの地層が露出している崖下を見学。オレンジの軽石層が砂層に混じり美しい縞模様をなしている。粗い砂粒で保水性は乏しいだろう。台地の一部では御嶽山山体崩壊(約5万年前)での泥流堆積物も見られ、この地が御嶽山木曽川といかに深いつながりをもつかを実感する。台地の上層部の見学の後は台地の基盤となるチャート層の見学。木曽川河床にはまるでサンドイッチのような実に美しいチャート層が露出。チャートというのは深海底に生息している放散虫の堆積したものだそうで、その放散虫を詳しく調べることで地層の形成時期がわかるものらしい。ここでは古生代中生代の境目がはっきりしていることで学問的な標準地層になっているとのこと。この後さらに市内の興味ある地形をまわったのだがそれは割愛。

 地球的な物差しでみる郷土というのも面白かったが、先生の「自分の生活している大地を知ることは命を守ることになる」という言葉が心に残った。我が家は地震の揺れが少ないように思うのだが(3:11でも揺れに気づかなかった)硬いチャート層の岩盤上に立地しているのかもしれぬ。
 掲載句は台地の梨栽培農家を見て。





     陽の恵み受けるかたちに梨剪定






          サンドイッチ状のチャート層 


5万年前、木曽川を流れ下った泥流の痕跡。丸石は川の石。尖ったのは火山の石。混ざって一挙に流れ下ったのがわかる。