朴落葉

「『司馬遼太郎』で学ぶ日本史」  磯田 道史著

 今売れっ子の歴史学者の著書である。表紙に「大反響 12万部突破」とある。新聞の読書欄でもベストセラー本として紹介されていたので、予約を待って借りた。読後感を一言で言えば「ガッカリ」。磯田さんの本は「武士の家計簿」にしろ「天災から日本史を見直す」にしろ資料を駆使してかなり面白かったのだが、それらとは違ってこれは司馬さん本の読書感想文のようなものだ。読書感想文というのはちょっと失礼だが、司馬さんの作品から何を学び何を今にいかしていくのか読み取ろうというのがこの本の趣旨。信長や大村益次郎坂本龍馬秋山真之らにみられる合理的精神が時代の変革期には非常に有効に働いて「この国のかたち」を創ってきたが、合理性とは対局的な形式主義・前例主義・神秘主義が、この国に破滅をもたらしたというのが大筋の内容だ。歴史を大づかみに整理してもらったという気持ちは残るが、あまり爽快感はない。司馬さんが愛した人物のように、どんな時でも周りに流されない「自己の確立」せねばといわれても、そのとおりですがと肯うだけで熱い気持ちが湧いてこないのはこちらの老化のせいでしょうか。

 

 「師走」の始まり。年賀状の欠礼状が届きだした。夫は今年は葉書がだいぶん余りそうだと言う。

まだ落葉しきっていなかった木蓮が散りだした。この木の葉は大きいので大変だ。今日も二人で大袋に何倍も拾った。

 

 

 

 

     掃くといふよりは拾ひて朴落葉

 

 

 

 

「司馬?太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517)

「司馬?太郎」で学ぶ日本史 (NHK出版新書 517)