紅葉

 好天に誘われて、紅葉でも見に行こうかということになる。目的地は奥美濃の長滝白山神社。我が家からは高速なら小1時間の距離である。長良川に添って北上するほどに紅葉は真っ盛り。全山が真っ赤に見える山があり、一瞬赤土がむき出しなのかと思い違いをしたほどだ。車を止めて、最大限の望遠で撮ってみたのだがやはり安いカメラでは無理。しかたなく長良川の川面を撮り満足する。

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 さて、長滝白山神社だが、ここは白山信仰の美濃側の中心的存在である。かっては神仏習合で白山中宮長滝寺と言われ6谷6院360房を有していたらしいが今は見る影もない。境内の半分は長滝白山神社で半分には仏を祀る講堂がある。火災でいまの建物は明治期のものらしいが冬の豪雪のせいかかなり古びてそれゆえに神さびても見える。1月の「花奪い祭」は有名であるが今日などは参拝の人も少なく二組ほどの七五三参りと二三の参拝者のみの静けさだ。巫女の真っ白な衣服が暗い拝殿の中をゆらゆらとうごくのが幻想的にすら見える。境内には「瀧宝殿」といって国重文の仏像が拝観出来る建物もあり、釈迦牟尼仏や四天王像が安置されている。

 また、近くには「白山文化博物館」があり、ここでは白山信仰の歴史のおおよそと神社の所有する文化財を見ることが出来る。今年は泰澄大師が白山を開いて1300年ということもあり「ふるさとの歴史を学ぼう」と入場が無料であった。確か白洲正子さんが著書でほめていた能面も展示されていたが、こういう鄙でも能楽が演じられていたというのが不思議だ。

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 博物館の前に「阿弥陀ヶ滝まで5キロ」の表示を見つけ、お腹が空いていたがもう少し足を伸ばそうということになる。泰澄によって発見されたという阿弥陀ヶ滝は白山信仰修験道の地である。くねくねと山道を登って駐車。滝まではさらに徒歩で10分とある。ようやく体調が戻ったばかりの当方を気遣って「もう止そう」というのをゆっくりと人の倍をかけて一歩一歩登る。その先に開けた滝は、落差60メートル、驚く迫力であった。カメラではなかなかその凄さは写せないが端に立つ人をみればその大きさはわかっていただけると思う。

 

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  帰りは「道の駅」で遅い昼をとって帰ったのだが、「道の駅」は行楽の人で大混雑。最近は併設の食べ物屋さんも美味しいし、なかなか面白い商品もあり、つい財布の紐もゆるみがちになった。

 

 

 

 

    水の飛騨紅葉身心のごと落ちる   金子 兜太