赤蜻蛉

「残花亭日暦」 田辺 聖子著

 書評で高橋源一郎さんが今、オバアチャンたちが面白いというようなことを言っておられたのを読んで、いつも元気なお聖さんから元気を頂こうと読み始める。ところがこれはご主人のカモカのおっちゃんが亡くなられる前後の日記で笑って読めるようなものではなかった。厳しく重い日々の記録だが、さすがに聖子さん、悲しみの合間にもご主人への情愛深く、時にはユーモアさえ混じえてさすが大阪のオバちゃん、面目躍如である。年齢計算から(何だか最近は執筆当時の筆者の年齢が気になる)当時は多分74歳だと察するのだが、それにしてもお元気なこと。重病人と高齢のお母さんを抱え、執筆に講演にと八面六臂の活躍。われわれ凡人には想像だに難しい才能とパワーだ。最近のご活躍はあまり聞かないがおそらく卒寿近くなられたはず。お元気であろうか。

 高齢といえば瀬戸内晴美さんは95歳。まだまだ政治的発言も多く新聞でも近況報告を書かれている。しかし少し前に出た「死に支度」は表題から思うほど面白くはなく、残念だった。面白かったといえば佐藤愛子さんの「晩鐘」で、これは全く歳を感じさせない力作であった。佐藤さんは今年93歳らしい。源一郎さんは染織家の志村ふくみさん(93歳)、故人として幸田文さん(86歳歿)白洲正子さん(88歳歿)を挙げておられたが,このあたりの大先達の未読作品は読んでみたいと思うところだ。

 

 二日続きで台風片付け。強風に揉まれて野菜が傷んだうえに落葉がすごくなかなか大変だった。むろん酷い被害に合われた人とは比べるべくもないが。

 

 

 

 

     介護する人も高齢赤蜻蛉

 

 

 

 

残花亭日暦 (角川文庫)

残花亭日暦 (角川文庫)