いやはや凄い話だった。こういう文体を「求心的文体」というらしいのだが、畳み掛けるような調子に息もつかず一気に読んだ。ことに完成なった塔を揺さぶる大嵐のこれでもかこれでもかという描写、吹きすさぶ暴風雨が目に見え耳に聞こえるごときだった。こういう先人の凄い文章を読むと、当方のような薄っぺらな知識ではただただ驚くしかない。文さんの文章を通しておぼろげながら知っていた露伴先生の姿がますます偉大になったことだ。
金木犀の香りが漂ってくるようになった。まず、香りに気づきそれから元の木を探すというのは金木犀ぐらいだ。
塵界の音遠くして金木犀
- 作者: 幸田露伴
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