「にんげん住所録」 高峰 秀子著

  二十四節気の「寒露」。露がしみじみと冷たく感じられる頃である。今日は晴れて気温も上がるとの予報だが、このところの朝晩の冷え込みには、一段と秋の深まりを感じさせる。

 図書館で何気なく借りてきた一冊。彼女とは世代的に少しズレが有り女優さんという憧れはない。名エッセストだという評判は聞いていたので手にした。確かに小気味のいい啖呵を聞くような文章であった。一世を風靡した女優さんだけにわれら庶民にはほど遠いという話題も多いが、そんな僻みを引いても楽しめた。随分の活字中毒らしく老齢になってからは(執筆時は七十歳代前半か)終日ベットに転がってあらゆる活字を追っているとあった。ソファーに転がって本ばかり読んでいるこちらも似たようなもので、何となく親近感も湧く。露伴の「五重塔」をいたく褒めておられたので読むことに。家にあった昔の岩波文庫はあまりに小さい活字なのでキンドルで検索をしたら無料であった。これで大活字で読め、有り難いことです。

 ちょっとずつ元気もでてきて昨日は編み物も。やり過ぎてやや指が痛くなり、アブナイアブナイ。トシヨリには「過ぎる」のはいけません。

 

 

 

 

     本殿の裏はひときわ露けしや

 

 

 

 

にんげん住所録

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