「東北ルネサンス」 赤坂 憲雄著

 まだ東北にこだわっている。Tの書棚にあった赤坂さんの対談集。東北にこだわった七つの対話記録、どの対話も熱い東北讃歌である。かの地においては三内丸山遺跡の発掘がもたらした影響は多きかったようだ。中央以前に優れた縄文文化が長く続いたという発見が東北人の誇りに火をつけたというのである。かっては蝦夷などとの繋がりを否定していた人々が逆に蝦夷との繋がりに誇りを感じ始めたのではないかと小説家の高橋克彦さんは言う。高橋克彦さんは「炎立つ」で蝦夷の活躍を描いた人である。

  さて、東北古代史研究の第一人者といわれる高橋富雄さんは日本というのはヤマトだけではないと語る。むしろ初めは「日高見国」と言われた関東以北のことを指して中国では日本と言ったのであって、「大倭」と「日高見国」が一緒になることで「日本」になった。「日本を日本たらしめたのは北あるいは東日本というものが、日本の半分を代表」してのことで、東日本というのは決して辺境の地ではないと言うのだ。

 民俗学者谷川健一さんは東北に数多く残るアイヌ地名に触れる。この話を受けて赤坂さんは「アイヌ語地名の問題は日本を相対化する武器である、日本は単一の民族によってつくられた国家だといった歴史を壊す、その大きな手がかり」だとする。ここにも辺境からもう一度歴史を見なおそうとする姿勢が伺われる。

 あと、中沢新一さん、五木寛之さん、井上ひさしさん、山折哲雄さんとの対話があるが夕飯の準備もありここまで。なかなか面白い内容であった。ことに高橋富雄さんの考えは初めて聞く内容でもあり関心をもった。

 

 

 

 

 

     ぽつかりと亀浮かびくる萩の昼